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外国人の方々の藍染体験:「本物」と「妥協」のトレードオフ

外国人のグループが川崎市立日本民家園内にある伝統工芸館で行われている「藍染体験」を希望され、予約から当日の通訳までをお手伝いさせて頂きました。


「川崎」と聞くと臨海エリアの工業地帯を想像してしまいますが、川崎市は広く、北部は多摩丘陵の左端に位置し見晴らしよく湧水も豊富、そして鎌倉と武蔵国を結ぶ鎌倉街道が通り監視にも適した地形鎌倉時代には丘陵上にはお城が造られ、昭和の時代には都市防衛のための「防空緑地帯」として一帯の敷地が国によって買収されたことにより、広大な緑地が残っているんですね。


こちらの生田緑地の軍事利用の歴史の記事も興味深い。




現在は各種ミュージアムが点在する公園として平和に利用されていて何よりです。



こちらの民家園には以前にも何度か来たことがありますが、自分も日本家屋に引っ越したことや、少し前に茅葺き屋根の修理作業のお手伝いをしたこともあり、ますますじっくり細部を凝視。

いちいち惚れ惚れ。

萌えてため息。




土壁のひび割れに萌える
土壁のひび割れに萌える

これらの建物は周りの風景になじみ、集落の景観は今の新興住宅地と比べて格段に美しかったと思いますが、地震や火事に弱い、冬は激寒、屋根の葺き替えなど定期的に集落総出のメンテナンスが必要、建てるのに時間と人手がかかる、などの理由から鉄筋コンクリートや工場で加工された新建材を組み合わせる家などに日本の家屋が変わってしまったことも、致し方ない。

(それでもタワマンやなんちゃらヒルズに住みたいとは全く思いませんが、、、)


トレードオフで得た利便性・経済性。


トレードオフで失った美しさ、心地よさ。

全てが自然のものから造られ、自然に還る「生き物の棲家」としての無駄の無さ。



「客間」
「客間」

「客間 Reception」との説明があるものの究極ミニマリストなお部屋。

「ゲストルーム」と言えばデコラティブなイメージが強い西洋の方々は驚愕でしょうね。

 


 目的の「藍染体験」は日本民家園の敷地内にある「伝統工芸館」にて。 参加者の外国人のみなさん16名が集合し、スタッフの方から「絞り、板締めなどの模様の作り方」を教えていただきます。

 今回はバンダナを染めるので、洗濯バサミ、ビー玉、細い棒、輪ゴムなどを使い、それぞれが好きな模様を作りますが、子どもも大人も真剣そのもの。

大柄な男性も細かな手作業を器用にこなされていました。




次は、いよいよ藍の液に布を浸します


浮いて来ないように棒で押さえつつ浸す
浮いて来ないように棒で押さえつつ浸す


液は青に見えるけれど、染まった布は緑色

「空気に触れて酸化することで青に変化する」


ということで、外へ出て布を広げて空気に晒すと、見る見るうちにきれいな青に。



水道水で洗い流し、ビー玉や輪ゴムを取り外しすと、 "Ohhhh〜!" "Woooow!"

と感嘆・感動・歓喜の声。


同じ説明を聞いて、同材料を使っても、デザインには個性と感性が現れる




スタッフの方から、

・タデ藍という植物の葉を摘み取る

・発酵させて「すくも」を作る

・すくもを温度管理しながら水の中で発酵させて液を作る

という過程の説明もして頂きましたが、こちらでの体験用の藍の液は染まり方を一定に保つために化学染料も混ぜられているそう。

展示用や販売用の作品は本藍染とのこと)


それを聞いて参加者の方々は少しがっかりしていらっしゃいましたが、それは「団体も受け入れる」「土日や連休に集中して人が来る」という観光客向けの施設では致し方ないかなと、、、。


というのは、私は「自分でこういうものが欲しい」と「鎌倉彫カトラリーセット」なるものを企画し、オリジナルキャリーポーチを本藍染の帆布で作るため、数年前に三浦市にあった「風工房」さん(惜しまれつつクローズ😢)で本藍染で染めさせて頂いたことがあります。


液から出した直後は緑色
液から出した直後は緑色

空気にふれてindigo blueに
空気にふれてindigo blueに

↑の布で袋を作った「鎌倉彫カトラリーセット」(宣伝くさくてすみません、、、)
↑の布で袋を作った「鎌倉彫カトラリーセット」(宣伝くさくてすみません、、、)


藍の液の状態は微生物の働きによるものなので、風工房さんでは4つの大きな甕に藍を建てられており、気温が低い時にはヒーターで甕を温めて温度管理をされていました。

生き物ゆえ、大きな布や重いものを染めると一気にバクテリアが少なくなって染まらなくなってしまうため、濃い色に染めるために何度か液に付ける場合には、その都度違う甕に浸けたり、1日に受け入れるお客様の数もかなり限られていました。


その後、この工房で藍染を習われた知り合いがご自分で藍を建てられる際に立ち合わせて頂き、藍が建つまでの過程も教えて頂き、藍が建った後も毎日Phをチェックし、状態を見て「元気がない」「色がきれいに出ない」と思えば、ふすまなど微生物の餌になるものを足されている姿を拝見し、「生き物であること」「無理をさせたり、きちんとお世話できなければ死んでしまうこと」も学ばせて頂いたので、お客様がいらして「午前中にたくさんのお客様が染められたので藍の元気がなくなり、今は色が出ません」とは言えない観光施設では、いつどれだけのお客様がいらしても一定の結果が出る化学染料も使わざるを得ないことは理解できます。


「何ごともトレードオフ」であることをいろいろな場面で実感するのですが、

「本物」にこだわると、

時間がかかる。

手間もかかる

  ↓

お金もかかる💧


「便利で」「大勢で」「いつでも」「どこでも」「お手軽に」という人間の利便性や経済を優先させると、「本物」はトレードオフで逃げてゆく、、、。


「どちらかじゃないとダメ」ではなく、いろいろなオプションがあって時と場合によって選べるのが良いのだと思いますが、、、。


本物は、たいてい、ひっそり、おとなしい。

けれど、その存在感はたしかなり。



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