イルカだけじゃない。御蔵島の宝「柘植」と「桑」
- Mariko Miki- The Blue
- 6月27日
- 読了時間: 4分
更新日:6 日前
「合羽橋に日本の食器を買いに行きたい」という海外から来日中の方にアテンドして、久しぶりに合羽橋へ。
噂には聞いていたけど、本当に街全体がどんどんインバウンド向けになっていますね。
「Made in Japanの包丁はハイクオリティー」
というのはだいぶ昔から言われていて海外のセレブシェフの多くが日本製の包丁を使っているという話はよく知られているので包丁を買われるのは理解できるのですが、大きなお皿やどんぶりなど、
「そんなにがさばって重いもの、しかも割れもの、スーツケースに入れてはるばるお国まで持って帰るんですか?」
と思ってしまうものも、みなさんガンガン買われていてびっくり。
私は外国人の方が日本でお土産を探される時には、軽くてがさばらない「お箸」をお勧めするのですが、インバウンド向けに最近オープンしたと見えるお箸の専門店も。

中に入ってみると、お店のセンターポジションに「御蔵島」の柘植や桑で作られたお箸の特選コーナーが!


伊豆諸島の御蔵島は、私が30年ほど前から野生のイルカと泳ぐ自然体験プログラムを毎夏20年以上行うために通っていた人口約300人の小さな島。
今は「御蔵島と言えばイルカ」になっていますが、私をはじめとする世間の人たちがイルカに注目する以前は「湧水」と「高級木材」で知られていたそう。
「柘植(つげ)」は成長が遅い分、材が固くて丈夫なため昔から印鑑が有名ですね。
その他には将棋の駒に使われるそうで、「御蔵島の柘植で作った駒」は羽生名人など一流の方々に選ばれているとか。
「桑」も「江戸指物」などの材として「御蔵島の桑」は「島桑」と呼ばれて最高級品なのだと、以前にNHKの江戸指物特集番組で見たことがあります。
「海外から木材が安く入ってくるようになる前は御蔵の柘植や桑が高く売れたから、伊豆諸島で一番の金持ちの島だった」
「大島の波浮の港は、御蔵がお金を貸してできた」
という話も島の方から聞いたことがあります。
残念ながら海外から安い木材が入ってくるようになり、また木材に変わってプラスチックや樹脂などが多用される時代になったこともあり島の林業は衰退してしまったようですが、それでも島の方々はできる限り成長した木を伐採して木材として加工、保管し、新たな苗を植えるなどして森の新陳代謝を維持されているようです。
なので「いつかまた御蔵島の柘植や桑の価値が見直されて、森が健全に維持されていくといいな」と思っていたので、お箸の専門店で御蔵島の柘植や桑で作られたお箸がきちんと紹介されていることに感動。
気になるお値段は1膳1万円近く〜1万数千円。
これは円安ウホウホで来られる海外の方に買って頂くしかないかも、、、なお値段💦
でも見た目が外国人が好みそうな「オ〜、ジャパ〜ン!」なエキゾチックさを感じる色や柄はなく実に地味なので、そうとう通な方じゃないと購入されないかも、、、
と思いきや、桑のお箸は「sold out 入荷待ち」と。
希少性がわかる日本の方が買われているのでしょうか、それとも円安バブルで「とりあえず一番高いプレミアムなもの買っていこう」と思われる海外の方が買われているのでしょうか。気になる💧
この「はし藤」さん、お店のサイトを拝見したら、
「1910年に奈良県吉野地方から東京の花街、吉原へ吉野杉の箸を売りに出て来たのがはじまり」
「日本の森と日本の職人さんたちによって作られた割箸、木地箸、塗箸を販売」
とのこと。インバウンド向けに最近オープンしたお店ではなかったんですね。失礼いたしました🙇♀️
(はし藤さんサイト) https://hashitou.co.jp
本来は「その土地のもの」「その国固有のもの」がお土産物のはずなのに、今は遠く離れた工場で日持ちさせるために保存料をたっぷり入れて製造された食品や、途上国で大量生産されたジャンクな安物が「ご当地お土産」として売られていて、それらを何の疑問もなく「⚪︎⚪︎のお土産〜」「ジャパンのお土産〜」と買われる方が多いことは残念すぎると常々思っているので、はし藤さんのようにちゃんと哲学を持たれたお店は本当に素晴らしく、応援したい。
我が家にも、島の方から「御蔵の桑で作った箸があるから、あげるよ」と家族分も含めて3膳頂いた桑のお箸があります。
我が家で一番高価な食器です、、、
庶民ゆえ「もったいなくて使えない」と普段はしまいこんでいますが、大切なお客様などの際にお出ししています。我が家に来られてこのお箸が出されたら「自分はVIP扱いされた」と思ってください😁

日本は森の国。木を使って来た文化を持つ国。
本当の「国土強靭化」はコンクリートで固めることではなく、ちゃんと山の手入れをすることだと思います。
なんでも100均で買えてしまう昨今ではありますが、お箸1膳でも
「国産の木材で日本の職人さんが作られたものを選ぶ」
ことが、
「山・森・国土を守り、水を育み、木を使って来た文化の継承にもつながる」
ことを意識してゆきたい。
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